それはどう起こるか

スポンサーサイト

  • --年--月--日(--)
  • カテゴリ:スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

<< 1つ古い記事「積年の問題がようやく解決!」 | 1つ新しい記事「部屋が寒すぎて腹が立つ」 >>

それはどう起こるか

  • 2004年12月29日(水)
  • カテゴリ:政治・経済・戦略
  • コメント:2
 私がネットを始めた頃に購読を始め、今でも愛読しているメールマガジンに『ロシア経済ジャーナル』というメルマガがあるんだけど、今号の内容が私には衝撃的だったので、以下に今号の概要を記し、それから現時点での私の感想や疑問点を記してみようと思う。素人が一時の勢いで書いただけの未熟な論考ですが、お暇な方はお付合い下さい。
 ロシア政治経済ジャーナル No.297『それはどう起こる』で、北野氏は米中戦争が将来起こる、またそれはアメリカが起こす戦争でり日本も巻き込まれる、との氏の予見を前提にして、それがどのように起こるのかについて述べている。論理展開をおおまかに記すと、次のようになる。(原文の方が遙かに理解しやすいのでまず原文読むのを推奨)
 
1.米国は永遠に覇権国家であり続けたい
2.その為には将来強大化するであろう中国が邪魔だ
3.じゃ弱いウチに中国潰すぜ どうやって戦争しようか
4.戦争の手順 (時期は北京五輪の後か上海万博の後だな)
a.まずは経済的に締め上げろ 悪評流して外資は全部撤退させるぜ
b.次に台湾や新疆ウイグルやチベットを扇動して独立させるぜ
c.他にも独立志向の強い地方にはばんばん工作して内乱煽るぜ
d.中国は台湾には出兵してくるだろうぜ
e.出兵したタイミングで経済封鎖して石油止めて米中戦争突入だぜ
f.米国は台湾や日本を拠点にして出撃するから、米本土は痛くも痒くもないぜ 日本や台湾や中国は戦場になるだろうが米国には関係ないぜ
g.戦争に勝利し中国に親米民主主義政権が誕生するぜ アメリカ万歳 星条旗よ永遠なれ(感涙

 さて、上記シナリオでは日本は戦渦に巻き込まれる。勿論それは困るので、戦争を回避すべく北野氏は、中国に投資している日米欧民間企業を軸にした、中国政府へのロビー活動を積極化させて、中国に台湾独立を認めさせるべきだと主張する。そして北野氏は、私の予測する未来は暗いけど、みんなは明るく生きようね、として今号を締めくくる。
 
 ということで、平和ボケしていた私の脳はこれを読んでびっくりしてしまったのだけれど、上記シナリオには二つの大きな争点があるように思う。まず、米国の中国脅威論については異論はない。

 私が争点だと思うのは、
 ア.台湾の独立問題―仮に台湾が独立を宣言したとして、中国が台湾独立を認めずに台湾を武力侵攻する可能性があるかどうか
 イ.本当に米中が戦争(通常戦力または核戦力による国同士の戦い)をするのか
の二点である。

 アに関しては、私は基本的には否定的である。まず中国サイドの事情から考えると、台湾の独立問題というのは結局の所面子の問題に過ぎないと思うので、仮に台湾が独立したとしても、アメリカと戦争になる事が分かっていての台湾攻撃はないだろうと思う。また、単純に現状戦力は台湾の方が上だという現実もある。中国はしばしば台湾近辺で軍事演習を行うが、これは「戦争する気がない場合は恫喝し、本当に戦争するつもりなら折り目正しく」という中国流の外交戦術であって、要は戦争する気がない事の裏返しではないかとも思っている。しかし、中国は表面上は台湾独立の動きに抗議し続けるだろう…つまり、いざとなれば譲歩できるカードはここぞという時しか譲歩しないと言う事だ。無用な譲歩をする理由はない。これらの文脈を押さえた上でこのニュースを見れば、将来的には戦争する気満々のアメリカとその属国の日本から理解を取り付けようと頑張る中国の姿は、一言で言えば弱者の外交であって、少しでも合意らしきものを作っておいて戦争の歯止めにしようと頑張っているんだなと。でもまあそうやって地味に努力しながら少しずつポジションを上げて立ち回って行くのが中華四千年の歴史が育んだ伝統の政治技術って奴なんだと思うけど。

 さて次に、独立は台湾サイドから見ても微妙である。まず、平和は独立より尊い。事実上独立しているのに、高い戦争リスクをかけてまで独立を宣言する価値があるのかどうか。二点目は、台湾の財界は既に中国沿岸部と深い経済関係があるのに、それを全て失うような真似をするのだろうか、という点。これに関しては、アカシックレコードの佐々木氏が「北京五輪に合わせての台湾独立のシナリオ」を書いている。よく電波呼ばわりされる同氏だが、一読の価値はあると思うのでここに挙げておく。(また田中宇氏も書いているので参考まで 台湾の選挙と独立―田中宇)
 
 どうみても、台中戦争というのは、台湾と中国双方にデメリットばかりでメリットが見えない。幾らアメリカが戦争させたくても、ここで戦争させるのはかなり厳しいのではという気がするが…逆説的に言えば、中国が台湾に攻め入るとしたら、それはよほどの事情がある場合であって、その際の戦争はかなり力の入った、悲惨なものになるのではないか、とも思う。

 さて、イを検討する事にする。この場合、基本的にはアメリカを中心とした経済関係と米中の軍事バランスの問題であり、経済の視点は重要とは思うけど、とりあえずマクロ経済については知識もないしよーわからんです。はい。ので、一度対中関係をオシャカにすることによる経済的損失を上回る経済的利益をアメリカが挙げられるのかなんて私には検証不能なので、ここではスルーすることにします。(ぉぃ
 まあそれはそれとして、世界経済はボーダーレス化して久しいし、既に世界の工場である中国と戦争なんて財界が賛成するのかという単純な疑念はあるんだけど、その辺はホントにさっぱりわからないので放置して、軍事力のみを検討する事にする。で、軍事力を検討するという事は、つまり戦争になったときのことを考えるということだが、その場合最初に検討すべきは中国の核戦力であり、ひとえに「中国は核ミサイルをニューヨークやワシントンに落とせるかどうか」が問題となる。(ちなみに私はMDなんて寝言は信じていないし、それは政治的にも価値はないと思っている)
 核戦略を語る場合、一般に問題となるのは、先制攻撃を受けた場合の核ミサイルの残存性だが、今回に関しては、アメリカが先に核を撃つ事はほぼないので考えないこととする。(核など撃てば大義など一辺に吹っ飛び、戦争遂行はほぼ不可能…と思いたいが、まあ太平洋戦争でアメリカは日本に原爆を使ったという前例がある訳だし、これも確実ではないのだけど)
 
 で、中国がホワイトハウスに核を落とす能力があるのかどうかだが…率直に言って私には分からない。可能なのではと思うが、確信はない。よって、とりあえず両建てで考えてみる。
 
 まず可能であった場合、アメリカはいくら通常戦力で勝っていても、本土に核を落とされてはどうしようもないので、キリのよい所で手打ちにして戦争を止める必要がある。しかしこの場合、幾ばくかの経済的領土的利益は得るかもしれないし、台湾や新疆ウイグルやチベットの独立を達成するかもしれないが、本来の戦争目的である「親米政権の樹立」はできず、これでは戦争する意味に乏しい。(…湾岸戦争とイラク戦争のように、戦争で弱体化させ経済封鎖し核武装を解除してまた戦争、の四段構えも可能性だけならなくはないが…財政難で近視眼なアメリカがそれをやれるのか疑問がある)

 次に不可能であった場合。アメリカは安心して通常戦力を投入できる。が、相手は広大な国土と無尽蔵の人口を誇る中国である。制圧はできても占領ができるとは思えず、守備の人民解放軍はあっさり蹴散らされるかもしれないが、その後は泥沼のゲリラ戦がひたすら続くだろうし、遊撃の人民解放軍は拡散→集結を繰り返して米軍にダメージを与え続けるだろう。そしてそのうちベトナムのように、「勝ちきれず撤退」になるかもしれない。
 その長期間の戦争は、中国とアメリカの国力を奪い、相対的にロシアやフランスを伸長させる。それはアメリカにとってはかなり嫌なシナリオである。なので、じゃあ海戦で勝った時点か、人民解放軍をある程度蹴散らした時点で手打ちにするのが妥当であろう。とすると、以降は上記パターンと同じになる。

 上記により、米中の戦争は、どうもコストばかりがかさんでメリットは薄いと私は思うので、ガチンコの戦争はないのではないかというのが私の今の所の見解である。

 と、ここまで書いた所ですげえ勢いで眠くなってきたのでこの辺で中止。とりあえず、昨今の米軍再編は対中国、対ロシアと、石油戦略の一環としての中央アジアと西アフリカ進駐がメインにあっての再編であり、不安定の弧というのはつまり日本から対中戦争しますよって事だねって感じで。その辺も分かって有事法制作ってんだよね。
 あと石油戦略といえば、中央アジアの石油は意外と高くつくので中国としてはどうなのよ、それに石油は重要資源ではあるが高リスク資源でもあるのでアメリカもどうなのよ、という話もあるけども。
 またロビー活動に関してだが、北野氏は中国政府へのロビー活動を示唆しているけど、既にアメリカで中国ロビーがかなり活発に活動しているような話も聞くし、そもそも卓越した政治力をもつ中国政府がアメリカの動向や真意を理解していないはずがないとも思うので、その辺は危機感を持ってやってるんじゃないかな。
 あと私はスーダンのダルフール問題なんかはアメリカの対中石油封じ込め&横取りだとしか思ってない(まあそればかりとも言い切れないが)ので、その点はfinalventさんと微妙に意見が合わないのだけど、極東ブログやfinalventさんの日記には大いに啓発されてきたし、勉強させてもらったし、とても尊敬しております。

 なんにせよ、このままではアメリカの単独覇権は長くないと思うので、その辺を政治の世界だけで解決できればいいねと適当な希望を述べて終わりってことで。解決法としては中国の金をアメリカが吸い上げ消費するサイクルを維持し続けられる仕組みを作ろうって事にしかならないだろうけど。それか日本再占領?よく知らないけど。或いは、アメリカが単独覇権を諦めて多極化世界を容認して合意作りに邁進してくれればもっと穏便に物事が進むのかもしれないけれども考えるの面倒なので以上です。寝ます。

(追記:結局の所、現時点の私には将来台中戦争やひいては米中戦争が起こるかどうかはわからない。だけど、おそらく現時点では米政権中枢にいる人達にもどうなるかわからないのではと思うし、ひいては中国や台湾にもわからないだろうと思う。しかし、分からないから何もしなくていい、という訳ではないので、様々なケースを想定して対策をうっておくべきではあるし、その中で関係者の利益を増やしプラスサムゲームに持ち込むために大事なのは、腹のさぐり合いをやめて(話せる範囲で)正直に話し、情報公開をして相互の信頼関係を構築して、話し合いで解決できるものはできるだけ解決してゆくという態度だねということで。外交担当者間の信頼関係は大事ですねというありきたりの結論だけど大事な事を再確認して終了します。)


参考リンクとか
米国は台湾への軍事支援を強化してきている―極東ブログ
ミサイル防衛という白痴同盟―極東ブログ
中国は弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN-Type094)を完成していた
―極東ブログ

中国が中央アジア石油戦略を放棄した要因―中国経済評価センター
アフリカにおける米国の軍事政策再編―ル・モンド・ディプロマティーク
にわかに注目のアフリカ産油諸国―ル・モンド・ディプロマティーク
スポンサーサイト

<< 1つ古い記事「積年の問題がようやく解決!」 | 1つ新しい記事「部屋が寒すぎて腹が立つ」 >>

コメント(-件)(2件)

orca:

食料を輸入に頼っていて穀物の大きな比率をアメリカに頼ってる時点で、
戦争起こすかに関しては中国はアメリカに頭が上がらないみたいですよ。兵糧の問題で。

  • 2004年12月29日(水)21:54:21
  • URL
  • 編集
めむひ:

orcaさんコメントありがとうございます。
あー食料の視点忘れてた。そーするとますます中国から仕掛ける可能性は薄いですよねえ。中国はフセインみたいにアホじゃないし、戦争はないと思うけどうーん。

  • 2004年12月30日(木)06:14:26
  • URL
  • 編集
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。